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「シスターシスター♡双方向性三角関係」 エピソード1:第1話(最新)

シスターシスター♡双方向性三角関係、エピソード1:第一話の現在(2016/6/21)。

内容は「続きを読む」から!

※これ、度々書き換えしています。

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§00 プロローグ

#001 白シスターと黒いネコ(意味深♡)

#001-第1話「視覚的には『いいね!』」

 昨夜、俺の頭に黒いウサミミが生えた。

 

 それはよく覚えている。

 

 俺の部屋に、俺の姉と先輩が訪ねてきた。

 

 それもなんとなく覚えている。

 

 だが、そこから先は、なんだか曖昧だ。

 

 今日は四月二十三日で、の次の日だ。ついでに言えば、西暦は二〇一六年。そして土曜日だ。こんな具合に、一日の最初に「日付」と「月齢」を思い出すのは、三年くらい前から習慣になっている。

 

 腹時計的には、まだ午前六時くらいだろう。これもだいたい正確だ。まだ寝ていても問題ないだろう。今日は休日だし。

 

 …………。

 

 だが、全身にのしかかっている、柔らかくも質量のあるこの圧迫感プレッシャーはいったい何なのだろう。しかもなんだか、少々蒸し暑い。

 

 繰り返すが、今は四月だ。の四月といえば、まだ「雪がようやく駆逐された程度」という時期である。いや、四月に雪が降ることすらある。つまり、未だ寒いのだ。だが、実家を出たばかりの大学一年生である俺には、この時期に暖房器具という贅沢品を使う経済的余力はない。

 

 そんなわけで、目を開ける前に、昨夜の出来事を整理してみよう。

 

 まさにその瞬間である――。

 

「あぁん、ハルくぅん♡」

 

 そのとろけるような甘い声と、顔に吹きかけられた強烈なアルコールの臭いで、俺は反射的に目をカッぴらいた。俺の本能が、警鐘を打ち鳴らしたのだ。

 

「ううっ!?」

 

 最初に目に入ったのは、妖しくつやめくピンクの唇だった。それは今にも俺の唇に接触しそうなほどに、近い。とにかく、近い。

 

 この絵面だけ考えると、とんでもなく「いいね!」な状況ではあった。

 

 だがしかし。

 

 これが、どうしようもなくのだ。

 

 思わず酸っぱい泡を吹きそうになった。

 

 その時――。

 

『キスするんだ、キス! 据え膳だよ! す、え、ぜ、ん! ボクが許す! キスするんだ! っていうか、キスして! せぇのっ!』

 

 俺の中のが空気を読まずにわめき出した。うん、謎の声と言ったら謎の声なのである。そして、こいつが空気を読まないのはいつものことだ。

 

 「キスしろ」……という言葉自体は、強烈な誘惑である。だが、それを正気に返らせるほどに、そのうっすら開いた唇の周辺は酒臭かった。もう俺は状態異常である。麻痺状態である。ついでに毒状態でもある。俺のHP表示は、とうに黄色く変色していることだろう。

 

『何だよこの馬鹿、意気地いくじなし!』

 

 馬鹿とはなんだ、この馬鹿!

 

 我ながら幼稚なやりとりである。

 

 ……こんな奴は放っておいて、とりあえず状況を整理しよう。

 

 うるわしき女性が、寝ていた。俺の隣で。

 

 ……ということは、さっきの「あぁん、ハルくぅん♡」は、どうやら寝言だったようだ。

 

 そしてその女性は、俺のボディをがっちりとホールドしていた。間違いなく視覚・触覚的には「いいね!」であったが以下略。

 

 そんな地獄だか天国だかわからないシチュエーションにおいて、俺は接触部分の皮膚感度を研ぎ澄ませた。

 

 ま、待て、誤解するな。これは、男の本能ゆえなのだ。よって、これはなものであり、つまり、仕方がないのだ。仕方ない。うん。

 

 ――何はともあれ。

 

 やわらかい! 何が、とは言わないが、やわらかい……ッ!

 

 さえなければ、きっと……。

 

 否応なしに皮膚から送り込まれてくるその触感に、が暴走し始める。

 

 いやいや、待ちなさい、

 

 不純なことは考えてはならない。考えるな。感じもするな。

 

 だめだぞ、! だめだってば!

 

 俺はに強く言い聞かせる。気力を根こそぎ奪われる交渉ネゴシエーションである。このつらさ、男子ならば誰にでも理解できるはずだ。

 

 あ。

 

 そういえば。

 

 ふと我に返る。

 

 ……どうしてこうなったんだっけ?

 

 俺は平静を保つようにと繰り返し言い聞かせながら、今度こそ状況確認の作業に取り掛かったのだった。

 

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