風の中のマリア
あの「永遠の0(ゼロ)」の百田尚樹氏の作品ということで
以前から読みたかった「永遠のマリア」をついに購入。
オオスズメバチのマリアを主人公にした物語です。
オオスズメバチ?
というところで「?」かもしれませんが、オオスズメバチなんです。
百田氏のすさまじいまでのテンション、センスで
ヒロインがスズメバチだろうがなんだろうが気になりません。
圧倒的な戦闘力を持つスズメバチのワーカー「マリア」とその姉妹、女王。そしてオスバチ。同族の他の帝国のワーカーたち、キイロスズメバチやミツバチ。
彼女ら(主に彼女ら、です)が命がけの戦いを繰り広げ、マリアたちはその中で自分たちの存在の意味を知り、理解し、死んでいくわけです。
滅びる運命にある帝国。
そこから生まれる次の世代、新たな国。
その未来を繋ぐために、あらゆる「虫」たちが全てを厭わず戦い続ける。
熱いんです。
すさまじく、熱いんです。
書籍の帯にある文言が、世界をうまく凝縮しています。
「命はたった三十日。
戦うことに迷っている暇なんてない。」
ハチにこんなに感情移入したのは初めてかもしれません。
私たち人間が目の敵にする、そして恐れている唯一とも言っていい昆虫「スズメバチ」。その中でも最大・最強のオオスズメバチのハンター「疾風のマリア」。
あるときは非常な虐殺者、あるときは従順な女王の娘、あるときは良き姉で良き庇護者。
若かりしマリア、そして老いて傷ついたマリア。
マリアって、スズメバチですよ、オオスズメバチ。
そんな彼女の生き様を「切ない」と感じる(感じさせられる)とか、
百田氏はどれだけ天才なんだと思うんですよ。
「永遠のゼロ」の世界と、その背骨は一緒なのかなぁとも思ったりしました。
「風の中のマリア」は、「永遠のゼロ」と並ぶ、すばらしい作品でした。
ちなみに途中で遭遇するカマキリがものすごく好きです。
あとオニヤンマ超怖ぇ……。