カクヨム/なろう投稿作品についてアレコレ考えるブログ

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カエルの楽園(百田尚樹氏)

カエルの楽園」読みました。文庫本の方。

「面白かった」と言ってしまっては問題があるかもしれない。
いや、問題しかない。平和を愛する日本人であれば「バカにしてんのか」と怒るべきだろう。そう、何も考えずに平和を愛すると言ってしまえる程度の日本人であれば。

私は「永遠の0」以来ずっと、百田尚樹氏を支持しているし、作品のファンでもある。まぁ、全部を買っているわけじゃないので不良ファンではある。でもアレです、「風の中のマリア」すごいおすすめです。個人的に。

 

話を「カエルの楽園」に戻すと、これは難民目線で語られる、日本の不気味さや歪さの物語です。洒落になってない皮肉が満載。終盤に至っては、愛国者を自認する私としては腹が立って仕方がなかった。それだけ読みこませる文章だからというのもあるけども、その実態があまりにも現実だったから。

国を愛してる、それゆえの憂国は、口にするだけで「声のでかい論理思考力ゼロのどあほう」に目を付けられ、脅され、ともすれば殺される。「侵略者」と「自国民」を天秤にかけて、「自国民」を吊るすことを選択する。民主主義で選ばれた代表たちが決めたことを「民意ではない」と平気でのたまい、暴力で解決する姿勢。「彼らじゃないからわからない」と言った口で「彼らは信じられる」と言ってみたり。「話し合えば解決する」と言ったその口で、自国民の言葉に「聞く耳を持たない」

そういう矛盾が、一部日本人にはあるわけです。実際に。マスメディアは嘘をつく。報道しない自由があると堂々とのたまう。他国が言っているから正しいと盲目的に信じる程度のリテラシー。誰に謝ってるのかわからない謝罪。永遠に集られ続けるのも贖罪のためだと言い張る愚劣。永遠に謝り続ける事が贖罪だと言い張るアジテイター。そういった日本の害悪たちが、権力者あるいは声のデカイ一部の阿呆として描かれています

痛快な物語だろうと思って読んだら、実は愛国者が一番ガックリ来る終わり方をしているこの物語。いや、わかっているんです、愛国者は。この国がこのままだったらどうなってしまうのかということを。

 

今、日本人、特に若い人は、読まねばならない作品だと思います。民間人を恫喝するような国会議員がいるようなこの世の中、若者こそが理性と論理性を身に付けていかなければ、この国は終わります。

この本にはアジテイションのベクトルは有りません。ただ、事実を、客観的に描いているだけです。これを「禁書」扱いするような人たちは、その人たち自身がアジテイターであるという事を知るべきですし、我々も彼らをそういった危険な人物であるとみなすべきです。

というわけで、一人でも多くにこの本を手に取ってもらえればと思うのです。
理性と論理性を。そして客観的視点を。ぜひ。

 

カエルの楽園

カエルの楽園