「セイレネス」プロローグ #narou
私が一式鍵名義で連載を続けている「セイレネス」より、プロローグを乗っけたいと思います。
なお、掲載完了分については、「小説家になろう」で読めます。
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わたしはどうしてこんなところにいるのだろう。
少女はぼんやりとそう繰り返した。
自分の声が頭の中で反響し、その度に意識が遠くなる。遠くなったかと思うと、すぐにまた鮮明になる。世界が輪郭だけになり、輪郭が撚り集まって色になる。雑音は散っては生まれ、生まれては音階となり、脳の中で色と空間に変わり、そして不規則に散っていく。それらは意味も問わずに延々と繰り返す。まるで波のように。追復(カノン)のように。
沈黙と暗闇の中で、少女は身じろぎする。身体はどこにも触れず、何の感覚もない。
わたしは何をしているのだろう?
わたしはどこにいるのだろう?
思い出せない。
何かが見えた。
脳の奥でちらりと光った。
少女は懸命に意識を集中する。
その光を探して彷徨う。
そしてやがて、点のようなものが見えてくる。
点の周りに青い円が見えた。円の周りに数字が見えた。その外側には目盛りのついた円が見えた。
次々と開かれていく扉を眺めているような気分になった。
「ああ」
少女は息を吐いた。
そうだ、このために、わたしはここにいるんだ。
戦艦<メルポメネ>、わたしはそのコアウェポン――ヴェーラ・グリエール。
「あれは、敵――――」
西暦二〇八八年、セイレーンたちが産声をあげた。
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現在、「第一部#AB:solute」は完結し、
「第二部#Convictus」を連載中です。夏ごろには終わります。
そして、「第三部#Duplicator」を夏以降連載し、1年ほどかけて完結する予定です。
先の長い話ですが、少しでも関心を持っていただければ幸いです。
よろしくお願い致します。